2022年4月3日日曜日

多摩川七福神

そろそろ上野の動物園や科学博物館に行きたいなあ、と思いだしたタイミングが花見シーズンと重なってしまった。

こんな時は、アレだ。以前から考えていたけど実際に足を運ぶに至らなかった場所に行くのだ。多摩川七福神だ。

多摩川七福神は、大田区内にいくつかある七福神(七福稲荷なんてのもある)のうちの1つ。大田区というか旧荏原郡内には寺社密集地が多く、周遊参拝コースが作りやすいのだ。

大田区の中でも多摩川沿い、東急多摩川線付近の寺社を集め、2014年に設置された、かなり新しい七福神だ。

オススメの周遊コースは、社務所の営業時間が長い(というか中の人が常駐している)新田神社をスタートとするもの。
初詣シーズンおよび月の第一日曜日には、各社に設けられているスタンプを集めるための御朱印色紙が売られるのだ。

私は御朱印集めない人なので、ぜんぜん違う経路を辿っていた。

福禄寿: 矢口中稲荷神社

東急武蔵新田駅のホームに壁1枚で隣接している。稲荷神社、大田区周辺歩くようになったら、やたら目に入ってくるようになった。児童公園みたいな形で保存されているだけでなく、個人の邸宅やビルの屋上、動物園のキツネのエリアにまであるしなぁ。横浜や町田に住んでた頃にも、さすがに街中で見かけることは少なかった。23区内に住んでみて、一番驚いたことの1つだ。

布袋尊: 頓兵衛地蔵

南北朝時代の武将、新田義興の謀殺に関わった船頭が、罪を悔いて作ったものらしい。その実物がお堂の中にあったのだろうが、なんとなく傍らに便乗して立っている他の地蔵に目が行ってしまった。

大黒天: 矢口氷川神社

境内が児童遊園となっている。氷川神社が祭るスサノオと、大黒天(シヴァ神)が並ぶ。クリア直前の真・女神転生みたいな絵面である。
スサノオを祭り神社って、氷川神社とか八坂神社とかたくさんあって、神社と神様ってなんというか1対1の関係じゃないんだな、と今さら思う。

寿老人: 延命寺

多摩川七福神の中にあって、唯一のお寺。
寿老人が祭られているのは入って右手にあるお堂。前述の新田義興の祟りから消失した。その火災から唯一逃れた地蔵を延命地蔵とし、寺の名前ともしたらしい。

弁財天: 東八幡神社

いきなり色彩が鮮やかになった。地域の人が熱心に掃除しているのだろう。ここも児童遊園になっていて、遊具や公衆トイレがある。

境内の一角に「矢口の渡し跡」の碑。

「矢口の渡し」は新田義興が謀殺された場所だ。船で川を渡っている時、船頭たちに、あらかじめ開けてあった船底の穴の栓を開けられて船が沈んだのだのだという。観念した義興は家臣もろとも自害。で、その時の船頭の一人が前述の、地蔵を建てた頓兵衛というわけだ。

矢口の渡しは昭和期まで使われた。多摩川が氾濫で流路を変えるたびに、渡し場の位置も変わる。渡し場が最後にあった場所には大田区の教育委員会が説明の看板を立てている。

毘沙門天: 十寄神社

「とよせじんじゃ」または「じっきじんじゃ」と読むらしい。境内には「十騎神社」との表記もあった。新田義興の10人の従者を祭ったものらしい。「十寄」も雰囲気あるけど、「十騎」も格好いいな。戦記モノの導入とか後日譚に。 The Shrine of 10 Samurais.

恵比寿: 新田神社

何度もお名前だけ出させて頂いた、新田義興その人を祭った神社。寺を炎上させたり……先ほどの延命寺だ……いろいろ祟ったので、墳墓の前に神社が建立された。
江戸時代は(新田家につながる)徳川家ゆかりの神社として武家の信仰を集め、今では恋愛成就のLOVE神社として人気らしい。縁結びと関係あるか否かは不明だが、コスプレ(なんのキャラかは分からなかったので、単に変わった衣装)で撮影に来ている若い女性も見かけた。

花で飾られた手水舎の水盤。新型コロナが収まったら見れなくなると思うと若干残念ではある。

真・女神転生ファンには、破魔矢の発祥の地であると言った方が通りがいいだろうか。

わたくし、蒲田さちこ。