2020年10月25日日曜日

勝海舟記念館

今週もまた区内の施設に遊びに行く。


三密必至の人気施設を避けているつもりは、実のところあまりない。

泊まりがけで行くような旅行に行きづらくなったので、「気軽に行けて、人が多かったら引き返す」ことがやりやすい近場のスポットの優先順位を上げているのだ。

交通費+入館だけなら千円以下という場所も多く、予算を立てるまでもなく、結果回転率も上がっている。

とはいえ、「いつか行くリスト」の中に入っていた大田区内の施設も消化しつつあるので、そろそろ範囲を広げる潮時であろう。
もしくは、施設とさえ見られていないような、本当の穴だ。


蒲田から東急池上線。初めて乗る区間だというのに、ロクに風景を見ずに来てしまった。もっとも、大田区の住宅街以外見えないはずの路線ではある。

洗足池公園にきた。アヒルがいる。人もいる。しっかり整備されている区民の憩いの場だ。もっと、こう、うち捨てられたような場所を期待していたのだが。


広い場所に出るとパノラマ写真を撮りたくなる。どうしても人が映り込んでしまい、それをカットするとパノラマの幅が狭くなる。


ボートが侵入してこない、池の周囲は生け簀みたいになっており、鯉がたくさん飼われている。「えさを与えないで」という看板はあまり顧みられていないようだ。歩みを止めると餌を貰えると勘違いした鯉が口を開けて向かってくるほどだ。


池の中に沈んでいたのを引き上げたのだという弁財天。いかにも「休業中」だったので、遠慮して看板だけ。
弁財天は水の神様だから、弁財天があるところは「少なくとも以前は水辺だったところ」と最近聞きかじった。そう言えば、確かにそんな感じの場所で見かけた記憶が多い。たとえばここ


池の東側にある水生植物園。その中にはビオトープと水田。他のビオトープをあまりよく知らないので比較できないが、言葉から受ける印象より大分こじんまりした感じだ。


え、ホタルを育ててるの?成虫できる環境なんだろうか。


さらにはカワセミすら来るのだという。「いやいや、いくら何でも盛りすぎだろ」と思った瞬間である。「せめて町田くらい都心から離れないと」「大田区内なら東京港野鳥公園とか」



洗足池公園をぐるっと回って、勝海舟記念館。

区立の「勝海舟記念館」になるまでは、「清明文庫」という施設で、やはり海舟ゆかりの品々、図書を集めていたのだという。

「清明文庫」の外観は、以前訪れた「物流博物館」を一回り小さくした感じに見えた。この「清明文庫」という近代建築物に、平成令和の増築部分が追加されて「勝海舟記念館」となった。

外から見える、この外壁も有形文化財であり展示物だ。当時のガラスを残した窓が増築部分で覆われる形で保護されたりしている。


残念ながらメインの展示物が多い1階は撮影禁止の場所ばかり。2階も映像などは撮影不可。なので、写真をあまり残せなかった。


海舟が使っていた「はんこ」。


記念撮影用のスペース。自撮りしない人なので、額縁だけ。


ミュージアムショップもある。「江戸無血開城」にちなんだ絆創膏がツボに入った。すごい御利益がありそうではないか。


勝海舟って人の、何が偉いのか、ほとんど知識がなかったのだけど。

  1. 日本の最初の軍艦に乗って、アメリカまで行った。(今で言う、宇宙飛行士みたいな感覚だろうか)
  2. 江戸幕府の敗戦処理を速やかに行って、江戸の街の被害を避けた。
  3. その敗戦処理がうまかったので、日本国内の混乱が抑えられ、結果、日本国独立の維持に貢献した。

う~ん、1,2だけなら「東京」という土地のローカルなヒーローがせいぜいだと思うんだけど。3は日本人の多くが苦手とするところなので、貴重なスキルと実績の持ち主と言える。実際、こういう評価される敗北って聞くこと少ないし。

私個人としては、50歳で既にセミリタイアを果たして、というところに憧れを感じる。
さらには、その状況で旧将軍家や幕臣への援助を続け、あちこちに顔が利いて、アドバイスを求めに来る者も多かったということらしい。(そっちは私には割とどうでもいいけど。)

坂本龍馬みたいな、仲介役としての活躍とか、決定的な瞬間にキャスティングボートを握るような「権力」への志向と対になるように。
表だっては政治から遠ざかりながらも、知恵と見識を求められる「権威」への志向っていうのも日本人(に限らず、「人間」)にはあって、勝海舟はそれを実現した人だったのだろう。
そんな感じで見ている。


あ、そうそう。勝さんが生んだ「東京」なんですが、近日中に崩壊する予定です。

「東京が死んで、僕が生まれた」

2020年10月18日日曜日

三密を避けて

最近、「三密を避けての外出」そのものがチャレンジめいてきている。外出したいことはしたいので、自己目的化とまではいかないが。


究極の三密回避。客数ゼロ(自分を含め)を達成してしまった。ホームページの休館情報を見逃していたのが敗因。Googleマップで、通常の営業日は見れているので油断してしまった。
しかたがないので「かわさきエコ暮らし未来館」は、後日再挑戦ということで。

初めて訪れた土地であることには違いないので、風景をパチリ。

台風被害とか、周辺の民家への光害とか、なにかとデメリットを取り沙汰されることも増えてきた太陽光発電だけど、こういう場所ならいいのかな。


配管だらけの工場。夜間だとどういう風に見えるのだろうか。

近くには浮島町公園があり、そこから羽田空港に航空機が発着する様子が見れるのだという。それだけのために来ようとは思わないけど。


川崎駅前に他の用事があったこともあり、前述の用件が空振りになった空白を埋めるべく、久しぶりに「カワスイ」に。実際には3ヶ月前に1度来ただけなんだけど、川崎駅前には何度も来ており、その度に素通りしているので、「久しぶり」感が出る。


ワライカワセミ(昼限定)。この水族館は、夕方のインターバルに動物の差し替えを行っており、前後で展示生物が一部変わるのだ。


コバルトヤドクガエル。両生類を展示している水槽は、小さいものが横に連なっているので、客が酷く密集する難所だ。2~3分ほど人が流れるのを待った後、あきらめて他に行く客もみかけた。


で、その一連の水槽の中の、アカメヤドクガエル。いないいない、とその姿を探して、とうとうあきらめそうになっていた子供もいた。「思ってたんと違う」という奴だ(Google画像検索)。

こんな感じで、展示生物を探すのに時間がかかり、かつ大人数で視野を共有できない小型水槽が並んでいる場所なのだ。「次回来たときでいいや」とあきらめる心、「他の人がいなくなるまで待とう」という辛抱強さ。人間力、豊かさ、心の余裕が試される場所になっているのである。


実際の所、最初に訪れたときに感じた不満は、わりと解消されていた。

店内の飲食物の屋台の場所が、エスカレータ近くから広場に移動していた。この広場、壁面にCG映像を垂れ流しているだけで(本物の生物が他にいるのに!)、イマイチ存在意義を把握しかねていた場所だ。現在では、落ち着いて飲食もできる、気軽な休憩場所として機能している。

売りの1つであった植栽の配置。客の通行の妨げになるだろうと思うようなものはなくなっていたり、刈り込まれたりしていた。もっとも、後者は単純に枯れただけとか、季節的な問題かもしれない。

展示生物の説明が、QRコード頼みなのは、だいたいにおいてそのまま。
(前回気づかなかっただけかもしれないが)QRコード内に、水槽番号が入り、カメラで読み込まなくても、「展示種一覧」から水槽番号でたどれるようになった。
もっとも、「展示種一覧」そのもののWebページは直接示されていないので、どこかで一度は「QRコード経由で、その水槽の説明を読み、そのページの下にある『展示種一覧』に行く」ということをする必要はある。


QRコードそのものに対する相当なこだわりがあるのだろうか。それにしても、同じコードを水槽の複数箇所に貼るだけで、同時にアクセスできる客の数は増える。そのくらいはやって欲しい。
それとも、QRコード自体あまり使わせたくなくて、本命はLINNE LENSなのだろうか。

LINNE LENSはとてもよいアプリだ。まわりに他の客がいないところでは。
テナント型水族館の小さい水槽の前で、他の客の視界を遮りながら魚を追いかけて写真を撮ったあげく、「この魚は60%で○○です」みたいな判定をされても困る。可能性を追いかけたいのではないからだ。(「今、たまたま自分の目の前にいるこの魚は何?」という問いへの答えとしては良いものだと思う。手間と時間、誤答誤読への許容など、図鑑は本だろうとアプリだろうと、使う側への要求が大きいのだ)


この水族館の賛否を大きく分けているのは、この辺ではないだろうか。「否」に傾いている人が望むのはもっと単純で共有しやすい仕掛けだ。それはこのようなものだ。


(驚安の殿堂 MEGAドン・キホーテ大森山王店にて)

多数の水族館が南北に連なる京急線沿いで、キャラの立った新しい水族館をつくる苦労は並大抵ではないと想像するし、あえて淡水魚にフォーカスするという戦略も私は好きだ。
その入口に「多摩川」を持ってくるジモト愛アピールもよい。

その上で、私が望むのは「いろいろ用意したので見てください」という作り手側の観点からのアピールじゃなくて、「この水族館を、こういう風に見てください」という観る側の観点からのガイドの充実だ。前述のQRコードも「あまり魚の名前とか気にしないで、まずは姿形を楽しんでください」なのか、「自分から積極的に動いて、調べてみましょう。その方が楽しいですよ」なのかで、意味合いが全く変わってくる。
現時点では、まだ「振り返って見たら、スマホの画面ばかり見ていた」となった人が多いのではないだろうか。私以外にも。美術館に行って、絵よりも額縁が気になって仕方がないという状況だ。


最近は、どこの水族館も、ショップに力を入れてくるのがうれしい。
ここ「カワスイ」も、幅広いグッズを扱っていて、しかも水族館自体に入らずにショップだけの利用も可能だ。リピしやすい。(そうでないトコもあるのだ)

下記は、前回財布と相談して順延したもの。3ヶ月の時を経て購入かなった。



水族館に行ったのに、魚の写真を1枚も撮っていないな。

2020年10月4日日曜日

遠きにありて

ふるさとは遠きにありて思ふもの 近くば寄って目にも見よ - 筒井康隆

今年何度目かの上野公園。

花見シーズンでないなりに、人通りは多い。多いとは言っても皆がソーシャルディスタンスを意識して歩いている。そのせいか、パっと見の印象に反して、人とすれ違う際に2mの距離が取れないことは稀だ。


国立科学博物館。Web予約が必要になってから来るのは今回が初。地球館の1階にはシンボルたるアロザウルス。ハローハロー。
『あつ森』の博物館の出来がとても素晴らしいので、むしろこちらがモデルなのだと分かってはいても「『あつ森』で見た奴www」と煽りを入れたくなる。


企画展「国立公園」。これを見に来たのだ。


床面に貼られているのは日本の国立公園のマップ。東日本の国立公園は行ったことがある場所もあり、あるいは近くを通りがかったりしたことがあった。そういう場所を、バーチャルで再訪しようというのが私の目的である。


レンジャーって環境省の職員だったのか。自衛隊の精鋭みたいな勝手なイメージがあった。


いかにもなウンチクが書かれたパネルの裏には、ひっそりと標本が並んでいる。探そう、そこに世界の全てが置かれているわけではないにしても。


上信越高原国立公園。この辺には会社のサークル合宿で行った。一番楽しかったスポット、浅間山の博物館は残念ながら休業してるみたい。


鹿児島の火山灰専用のゴミ袋の展示。大洗町内で、まだ『ガルパン』の公式グッズが売られてなかった頃、町指定のゴミ袋がファンの定番のおみやげだったという昔話を思い出す。


磐梯朝日国立公園。 五色沼とか、小さい頃よく連れて行ってもらったものだ。宮城の仙南地域の小中学生には遠足・修学旅行の定番であった。
爆裂火口と聞いて、とある魔法使いの少女をイメージしたあなた。彼女はバンダイではなくKADOKAWAのキャラクターである。


会津の地元民の間でだけ秘かに流通している赤キャベツ(キャベツではない)。


三陸復興国立公園。家族旅行で行ったことがある三陸海岸。何を見に行ったのか、もう具体的な記憶が全くないが。金華山には友人と行った。それも震災前の話である。


ウミツバメ。自分の幼少期を顧みても「地元民からはスルーされているだろう、その土地固有のもの」って多いのではないかと思う。自分の生まれた地域の「豊かな自然」の、地域なりの豊かさを実際に語るのって、なかなか難しいのではないだろうか。


展示物(植物標本等)を虫害から守るためのものであろう、防虫剤。この会場にあるものの中で、これだけは近所のドラッグストアでも買うことができる。


伊勢志摩国立公園。鳥羽水族館のあるあたりも含まれているんだね。

国立公園は単なる自然保護区ではなく、人間の文明も容赦なくその中に飲み込んでいくのだという。しかも、規模が拡大される一方なのだそうだ。だから、あなたも私も気がついていたら国立公園の中にいたどころか、住んでたということがありうる。日本の国土のうち、5%ほどが既に国立公園の腹の中であるという。ひどく侵略的な公園があったものだ。


日光国立公園。大学のゼミとか、会社のサークルで、それぞれ合宿したり湯葉食べた記憶あり。東照宮、お前もか。(クジラの腹の中で知人と再会した気分)


無人岩。わざわざ「無人」と称するからには、普通の岩には小さい人間が住んでいるのであろう。本日一番の衝撃。


長い間人目にさらされ続けた結果、白髪になってしまったマリモ。


会場外にあった、目黒寄生虫館のサイネージ。ここもまた行ってみたい場所である。とても密度が濃い(狭い)場所なので、行くとしたら平日にしておきたい。


お隣の施設の職員がネコの姿に変えられていた。あまり困っているようにも見えなかったので会釈して去った。


あちこちのディスプレイで、それぞれの公園内の空撮映像が流されており、奥には4Kでの上映までされている。それらも見ごたえがある。繰り返し流されている風景をぼんやり見るもよし。「こんなきれいな場所だったかな」と過去の記憶と比較するもよし。私が、次に行くとしたら奥多摩(秩父多摩甲斐国立公園)だろうか。そういえば箱根(富士箱根伊豆国立公園)には大学のOB会、白糸の滝(富士箱根伊豆国立公園)には会社のサークル合宿で行ったことがあったんだった。いやしかし、富士箱根伊豆って盛りすぎじゃないか。(いずれ、残る伊豆にもいくつもりではある)

ここも日本の最先端の科学館として、単に見せる展示だけじゃなく、触ったり動かしてみる展示が多く取り入れられていたので、新型コロナ対策の影響をモロに受けていた。フロアによっては半分が休止中……もちろん省エネのために消灯……みたいな感じだ。
何度来ても「今まで気付かなかった」何かがあるので、自然教育園とも共通の年間パスが欲しいところ。そう。今日もまた、さっさとチケットで入館してしまって年間パスを買い損ねてしまったのだ。