『本好きの下剋上』。
私にとってのヒーローの一人である、速水奨さんが若者の役を演じるアニメ。
そこから、アニメ→コミック→原作小説、とメディアミックスを遡ってきた。
これは私の方針なのだけど、だいたいの作品は、原作を読むにしても、アニメないしコミックスが進んだところまでで留めおくようにしている。そっちがメインで、原作は設定や背景を知るために読んでいるからだ。しかし、この作品については、刊行済のコミックスを読み終わってから原作に手を付けたにもかかわらず、早々に踏み抜いてしまった。「続きが気になる圧」がすごい。
なので、コミックスが完結した第2部は後回しにして、第3部から読んでいる。作品が完結に近づいてからの読者なんで、ガンガン読み進められるのはいいが、それなりにお金もかかった。
星雲賞取ったというところも大きい。あまり日本SF会に詳しくないけど。SFとして評価されたのは、世界構築にかかわるところだと想像している。で、それが顕わになるのは第4部以降だと思う。
その第4部を、コミックスでは『Baby Steps』の勝木光先生が、元週刊連載作家のスピード感で描いており、その中でディッターというスポーツを分かりやすく読み解いてくれている。主人公が「エーレンフェストの外」に出て、キャラクターの数が増え、人物相関図も一気に複雑さを増す。ここで、テンポや解像度が落ちずに、むしろキャラクターの表情が読み取りやすくなっている印象さえある。
第5部では、スポーツだったディッターが、本物の戦争になる。
作画の難易度は相当高いはずだ。
この世界での戦争は、人数が戦力に比例せず、個人の魔力の占める影響が大きい。
魔力を持たない、平民の兵士は、街の警備にしか使われていないくらいだ。
騎士団を1つの塊として扱ってしまうには、騎士という豆粒が大きく、一人一人を騎士として描くには数が多すぎる。彼らをどのように描くのか。メインのキャラの動きだだけ描いてしまうと、「えっ、こんなことで国家の運命が決まっちゃうの」となりかねない。ダンケルフェルガーの助力や、囮役を務める者達の必要性が埋もれてしまわないような、説得力のある描写を願っている。
このあたりをどうさばくのか(あるいは、さばかないのか)。注目しているポイントだ。
原作小説では、切った張ったのやりとりもさることながら、兵站を差配する貴族の奥方たち、騎士たちへの仮眠時間の割り当ての怠りもなく。定量的に、軍略について語るようなジャンル小説ではないにも関わらず、むしろ真面目に戦争をやっている。作品中の「描写のリソース配分」が独特だ。中世騎士物語とは一線を画している。そのせいで見せ場を失ったと思われる登場人物もいるけど。
あと、全体の方向性が家族の愛情メインにシフトした影響か、友情の物語は割としょっぱい。男同士だけでなく、女同士でも、イマイチいい感じにならなかった。
にぎやかしだと思っていたキャラクターが、いろいろこじらせた結果、ザコ敵として排除されたり。あんまり家族以外の他人と和解する話がないなとも思う。
「ローゼマインの装甲騎獣」
「ローゼマインの水鉄砲」
「ローゼマインの首刈りウサギ」
「フェルディナンドの~」より、「ローゼマインの~」の方が不穏さが出るね。
職業軍人の合理性より、現代っ子が無造作に振るう暴力性。
前述の人間関係にも言えるところだけど。ローゼマイン自身にもドライなところがあるというか、むしろ視野を狭く保つことで自分の心を守る傾向があるように見える。
好みのキャラは。
女性キャラではエルヴィーラとかレオノーレ。
男性キャラではギュンターとかベンノ。
ベストカップルはエックハルトとアンゲリカ。互いへの愛情がほぼゼロなのに成立しており、破綻する気配もないのがすごい。
今後のテレビアニメシリーズも(続くなら)ドラマCDのキャストを引き継ぐんだろうけど、CDでは兼ね役が多い。役者さんにどのキャラが割り当てられるのか、で他のキャラクターにはどの役者さんが振り分けられるのかも気になる。特に、潘めぐみさんが、たくさんいる中のどのキャラで出てくるのかを楽しみにしている。(えっ、出てくるよな……)
スピンオフ集とかには、まだ手を付けていない。最強の平騎士を目指すトラウゴットが冒険に出る話が読みたいんだけど、望みは薄そうだ。