2022年1月12日水曜日

ゴキブリは売り切れました

多摩動物公園の昆虫舎を見たら、足立区生物園が懐かしくなってしまった。2回目。
オミクロン株の大人気に押され、都立の園館は休業。足立区生物園もそれにならう形で休業に入ったので、ギリ滑り込んだ形。

エントランスホールの奥の壁一面に金魚。大人の背丈を越える高さの水槽で、半ば見上げる形で金魚を見る。その金魚も大きいものは体長20cmくらいありそう(おぼろげな記憶)。生物園の顔ともいうべき水槽。

足立区生物園(以降、足立区)は建物自体それほど大きくないが、なんというか、圧が強い。掲示物のデザインがドギツいというわけでもないのに、押してくる感覚がある。
癒やしなどという生ぬるい言葉とは縁遠い、もっと圧倒的な何かが、足立区にはある。それは生き物たち自身から、あるいは企画そのものから発せられているのかもしれない。

例えば、多摩動物公園のそれよりは小さいけれど、その分、チョウたちを近くで見ることができる大温室。
私自身は、虫は苦手な方で、チョウにさえ「気持ち悪さ」を感じるタイプなのだが、それでもテンションが上がる。

そして、大温室を出たところにこれ。
なお、足立区の子供たちは大変礼儀正しいので、ゴキブリもさん付けで呼ぶ。

コロナさえなければ決行されていたという恐ろしい企画。
「ゴキブリ展」と銘打たれた企画展のブースからはみ出して、他の企画にまで何かとゴキを差し込む足立区。
「推す」というより「押す」という力の入り具合であり、フッと観る者の隙をついて懐に何か入れようとする様は「刺す」という表現がふさわしい。
 写真は絵面的に無難なそうもの。

足立区は館自体がさほど大きくないので、ミュージアム・ショップも小さいのに、とても充実している。
アイテム辺りの在庫数を抑えて、その分取扱商品の種類を広げている感じだ。
園館ならどこででも扱っていそうなオモチャから、足立区オリジナルの商品、付近のパン屋・洋菓子店との提携商品らしいもの。
同じくらいの規模の園館には、ここをお手本にして欲しいと思えるくらいのショップ。
そして、書籍を手に取ってレジに向かったところで、戦慄の貼紙を見たのである。→タイトル


虫は苦手なんだけど、つい手に取ってしまった昆虫館の本。足立区のスタッフも寄稿していて、それで棚に並んでいたのだろう。多摩動物公園のスタッフも書いていた。むしろ多摩が多い。
個人的な「推し虫」の紹介から、各館独自の飼育の技自慢まで。「沼にハマっただけでは終わらずに、井戸まで掘り始めた人」たちが寄って集って書いている。そんな本だった。

2022年1月3日月曜日

ブラタモリで見た

新型コロナ以降、外出先の選び方を変えてきたけど、たぶん今回が一番遠い。
青梅線の羽村駅だ。

観光案内所は年末年始のお休み中。周辺マップだけ撮らせてもらう。

目的地はここ。羽村取水堰だ。

この本を買ってから、行ってみたくなった場所の1つだ。(もう1つは久地円筒分水。小河内ダムが未達)

多摩川から、取水して玉川上水に取り込むところ。「川をきれいに」の看板がある堰で川を塞ぎ、奥の水門から大量の水を手前のスペースに一旦取り込み、必要なだけの水を取り込みつつ、残りを橋の先の小吐水門から川に戻す。

ドバドバドバドバ~。

小吐水門から川に戻る水の勢いも相当だ。堰からは漏れ出る程度の水しか流れておらず、ほとんど全部の水が先の水門から取水されているように見えた。

取水された水が、玉川上水に流れていくところ。結構、大量に「持って行って」いると思った。 この玉川上水の水は、下流にある設備から、さらに一部が取水され、地下水道管を通って多摩湖に貯められる。そして浄水場を経て「東京の美味しい水道水」として、ペットボトルの美味しい水とは比較にならないほどの安価で各家庭に配られる。

土木遺産である。どの辺が遺産かというと、この堰(「川をきれいに」の下の部分)が丸太などで作られた「投渡堰」という、江戸時代に玉川上水が作られた当時の素材と構造のまま保たれているからだ。現役の堰として、金属とコンクリートで補強されてはいるのだけれども。

残念ながら、護岸の一部が工事中で、堰の下流側の構造が本来の形になっていなかった。3月上旬までの工事になるよう。

ウルトラマンレオを思い出させるポーズの二人(逆光)。上水工事の立役者、玉川兄弟だ。

羽村市の郷土歴史館に行けば、もっと詳しい知識を得られるのではないか、あるいは模型とか……と期待していたが、年末年始の休館中。玉川上水の企画展示とか、ドンピシャなので、終わる前に来れるといいのだけど。3月末まで。花見で賑わう時期には外出したくないけど……。

水道局の羽村取水管理事務所。この裏に、玉川水神社があり、旧羽村陣屋の門が移築されている。令和の羽村陣屋だ。

宿題を残しつつ、羽村駅まで戻り、さらに駅の反対側(東口)へ。
駅から3分的な場所にある、「まいまいず井戸」。井戸まで、らせん状に道ができるように掘られている。
「らせんの力で水をグングン吸い上げる」天元突破グレンラガン的な謎パワーを期待してのものではなく、掘削技術が未熟だった昔に、井戸を掘るために云々みたいな話らしい。
逆にここまで大がかりな工事をするほどに、「ここに井戸を掘れば地下水が出る」的な確信をどうやって得ていたのかが気になる。

さらに、20分ほど歩いて、第二の目的地、羽村市動物公園に。

多摩動物園では最後の方に回ったサーバル様のお館は、わりと順路の始めにある。 なんと、姿をお現わしになっていない。寒いときは家にこもっておられるよう。
(後にもう一度来たとき、一瞬だけ姿を見れた)

シベリアオオヤマネコは、さすがシベリア出身らしく、寒さをものともしない感じだった。

動物園内動物園とでも称するべきだろうか、「なかよし動物園」。この外の動物たちはあまり仲良くない感じ?

子供たちがエサの野菜を手にする様を見て、期待を膨らませる動物たち。

しかし、彼らを狙うオオカミの姿も……。

床に撒かれた魚に群がるペンギンたち。エサの与え方って、園館ごとに差が出るような。

サル山の片隅に、なぜかサルがヒドイ目に遭う昔話が掲示されている。何らかの政治的意図があるのだろうか。

動物園って、遊具が設置されている率が高いような。まぁ、基本的に「人間の求めに応じて愛嬌を振りまいてくれる」存在じゃない……基本寝てる……から、無心に遊ばせてくれる機械の需要があるのも分からないでもない。

噴水設備っぽいなぁ、と思ったら。裏にポンプの操作盤があった。今は一番下の段だけ、コイの飼育に利用中。
やはり噴水の維持費は高いのだろうか。あちこちの外出先で見かけるが、稼働率の低さが際立っている。

キリンやレッサーパンダもいたし、いかにもといった猛獣こそいないけど、市営の動物園としてはだいぶお得な感じ。
冬に来るのが悪いという話でもあるが、屋内に引きこもったままの動物が多かったのが惜しい。お部屋の中の動物の姿も見れるような設備があると良かった。

観音崎自然博物館

油壺マリンパークも閉館しちゃったし、三浦半島に行く理由無くなっちゃったなぁ。……と思ってたら見つけた館。


三崎口よりだいぶ手前の、横須賀市にある。最寄り駅は京急馬堀海岸駅。そこからバスで神奈川県立観音崎公園に向かう。 観音崎公園の奥の方に回っていくと、単純に「はくぶつかん」と銘打たれた建物があった。ここのようだ。

これは……、博物館だ。なんというか、上野の国立科学博物館よりも博物館している。 イラストと模型、そして標本。恐竜の模型の考証が、古い学説に基づいたもので、最新のものではないことを示したイラスト。

大小様々ある水槽も、装飾性をもたず、いかにも「近所の海で捕まえてきました」風。むしろ、水槽の大きさを持て余している感がある。 変に水草とか石とか入れると「ウソ」になっちゃいそうな気もするので、これはこれで正解という気もする。

特筆すべきは、展示ジャンルの多彩さではないだろうか。
例えば(地元の同好の志による)帆船の模型。別のコーナーにはコンテナ船の模型もあった。

地域の動植物に関する噂話。 (両生類や虫などの小水槽が並んでるコーナーが一番充実してたんだけど、見るのに夢中で写真を取り損ねた)

地元の漁業。
パネルの写真の奥には、数々の漁法の模型が覗く。なんで展示やめちゃったんだろう。

品川沖のクジラ。そう言えば、北品川に鯨塚とかあったなぁ。

野鳥と植物。公園内の植物の分布や断面など手書きの資料もあり、展示物が手と足で作られた様子がうかがえる。

施設の古さとか、展示の入れ替えに伴う予算と労力とか、あれやこれやの制限を感じさせつつも、マメに手が入っている。
時勢の要求に合わせて、都度都度の更新が繰り返されてきた歴史が感じられる。
それこそ、最近の流行なのかもしれないが、館外での観察会などのイベントも積極的に行っているようだ。


オマケ。
公園のパークセンターにいる、観音崎のアイドル、音花ちゃん。
ちなみに元イラストはこちら。

2022年1月1日土曜日

多摩動物公園(2)

水族館巡りから派生して、動物園にも来るようになったけど、動物園って皆寝ている印象がある。

今年の干支。
カンガルー。
謎の生き物。
夢を食う獣まで。

動物園だから、じゃなくて動物って基本寝ているものなんだろう。そう理解する方向でいいのだろうか。それともなんか活発に動く動物を観るコツみたいなものがあるのだろうか。


昆虫園の大温室では様々な蝶が飛んでいる中を歩くことができる。広いし、壮観といってもいい。ただ、私個人は足立区生物園の大温室を推すかな。気合い的な意味で。
温室から蝶が逃げ出せないよう、エアカーテンみたいな風で、蝶が出入り口を通り抜けられない仕組みになっている。運悪く、金属扉とエアカーテンの風の間に閉じ込められていた蝶がいたので、自分の身体で風を遮って、温室側に逃がしてやった。
ハキリアリの展示。動画も撮ったけど、公開はためらわれた。
たいへん夢のある展示。
これはこれで。

チーター。その俊足を披露する機会は与えられるのだろうか。
サーバル様。見るのは初めてだが、スマートな感じの美猫というか。比較して語るのは良くないと思いつつも、さっきのチーターが垢抜けない感じに思えてしまうくらいのインパクトだ。
クマ。彼(or彼女)に限らず、結構広いスペースが与えられているのに、狭い範囲をウロウロするのはなんなんだろう。
「次は誰を食べようかな」と考えを巡らせているのだろうか。

上野より広い場所でのびのびと、というコンセプトに違わない場所だった。 大半の場所を回ったつもりだが、半分くらいしか見れていないような気がする。 次回は園内シャトルバスも使って、今回見切れなかったところ中心に回りたい。 あと、ライオンバスも。(園内バスと混同していた)