2024年12月15日日曜日

鳥を見た


国立科学博物館 特別展「鳥」

特別展「鳥」である。


「一生分の鳥、見れます」
…と、うたうだけあって、おびただしい量の鳥の死体(骨格標本・はく製)が並んでいる。「我孫子市 鳥の博物館」の常設展示より多いんじゃないか。

多いんだけど、この特別展のポイントは、その多くの鳥たちが最新の生物分類に従って整理されていること。

その系統分類のポイントを端的に表現した「多様性サークル」コーナーは、ほぼ撮影不可である。(動画が多用されているので)
ブログで扱えないのは苦しい。

そこから先の展示、第3章~第7章(各類、計44目)は、内容的には順不同。ここまで来ると観覧者も分散し、生きている野鳥ではあり得ない近さから鳥を見ることができる。


危険な鳥にも。

ご近所の鳥にも。

……そう言えば、最近お前の卵を食べてなかったな。

そして動物園でお馴染みのこの方々。

はく製標本の多くは「国立科学博物館」自体の所蔵物だが、他にも「姫路科学館」や前述「我孫子市 鳥の博物館」など、鳥類を扱う他の博物館からの借用物も多い。なかでも鳥の博物館からの“借りてきた鳥”には、躍動感や動き、生活を感じさせるものが多くあった。個人の寄贈物…研究用標本ではなく装飾物として作られたもの…が多かったのだろうか。

系統分類の変化は大きなトピックだが、鳥類を巡る新発見はそれだけではなく、最近の研究成果がイラストとともに取り上げられている。

進化論の黎明期だけでなく、現代でも最先端研究の対象であるダーウィンフィンチのコレクション。君はコンプリートできるか。

単純に展示物を並べるだけでなく、テーマやストーリーを重視するのが最近のトレンド。特に期間限定の特別展・企画展で観覧者に何かを訴えようとするなら、なおさら。ただ、ストーリーを「順路」という形で表現されると、どうしても滞留が発生する(展示の第1章~第2章)。混雑を避けて、平日に行ったにもかかわらず、なかなかの見づらさがあった。

あと、個人的には、あれだけたくさんの標本が集まっているのに、はしゃぐ子供もおらず、みんな真顔で見ていたのも気になった。もうちょっとテンション高くても…と思わずにいられない。




企画展「貝類展」

タイトル通り「貝類」の企画展示。写真は最大の(広義の)「貝」、ダイオウイカの模型。会場からはみ出している。最近はこの建物を結婚記念の写真撮影等にも貸出しているらしい。これを画角に入れるか否かで揉めたカップルがいたかもしれない。

こっちは最小の貝、ミジンワダチガイ。左の赤い矢印の先にあるのが本物の標本で、右のは200倍の拡大模型。ただしあくまで暫定1位。未発見の種が多々あると推測されているグループでの「一番小さい」はとても難しい。

企画展の副題は「人はなぜ貝に魅せられるのか」。標本の傍らには、著名人の「貝」に関係するお言葉が。あまりにさりげなく床に「放置」され、結果、人の視線から逃れている角材にも。

特別展「和食」の展示にもあった、寿司と貝の部位の対照表の、詳細版が出てた。次に寿司屋に食べに行く時の参考資料にしたい。

最高級の碁石(白)の原料であるチョウセンハマグリの貝殻。ある程度厚みが必要なので、1枚の貝から取れる量がない。


「Hello Kitty」展


サンリオ全般に軽い興味はあるものの、ハローキティに関してはそれほど…という自分。だが、東京国立博物館が特別展としてやる、というのは一生のうちに何度もあると思われず、「鳥のついでに猫も見るか。混雑してたら帰ろう」くらいのノリで。

さすがに平日だったので、さほど並ぶことなく入場券は買えた。一方、熱心なファンがグッズを求めてリピートしているようで、物販専用の整理券らしきものが他で配られていたようだ。


イベントスペースじゃないんだ、博物館ならではの視点で見ていくよ!という感じの展示構成。(観覧者にどれほど伝わっていたかはわからないが)
時代の要請(あるいは折々の流行廃り)に合わせて展開される様々なグッズたち。

デザインとして「どの要素を省略するとキティに見えなくなるか」という命題に挑戦し、ギリギリのラインを攻めた結果の「リボン」。極限キティ。
それをもっとストレートに表現した展示もあったのだが、林原めぐみの声まで入った動画上映だったので、当然録画不可。

デザイン戦略のポイントをコーナー周辺のパネルから抜粋すると、「あなたをまっすぐ見つめる(ユーザーに寄り添うというメッセージ)」「口を描かない(自らの感情を表現せず、ユーザーの解釈に任せる)」「躊躇なくデザインを変える(世界観よりユーザーニーズ)」「リボンだけでも成立させる視認性」。
この辺詳しく解説されているなら図録買っても良かったかな。


作るのがもったいなくなるようなランナー構成のガンプラ。いわゆる「罪プラ」。

ご当地キティのコーナーは、前述のデザイン上のポイントの応用実例集になっていたと思われる。このコーナーは人だかりが絶えず、撮影禁止ではなく、撮影困難。


東京国立博物館に来るの、40年ぶり位のような気がするけど。
常設展見るのは、次の機会にするよ。