2013年2月9日土曜日

囲碁の話

正のエネルギーと負のエネルギー、どっちが生き残るかゲームの始まり。

ビッグバン直後の宇宙。碁盤は宇宙全体の大きさを持ち、かつ無限に小さい。19×19の区域に分けられているが、あくまで便宜上のものだ。

それぞれの区域には、正の物質によって占められる、正のエネルギーで満ちる、負の物質で占められる、負のエネルギーで満ちる、という4つの将来があり得る。

ゲームが始まった時点の宇宙は完全に未確定。分けられた区域のそれぞれがこれら4つの状態が重なりあっている状態で始まる。そこから1手1手が打たれる度に、あり得る将来の可能性は収束していき、宇宙の重さが増していく。


序盤のうちは単なる偶然で進行していく宇宙の成長。だが、石の数が増え、互いに近づくことにより、引っ張り合いや反発が起こるようになり、電磁気学の法則の支配が顕わになっていく。石同士は互いに連結し、絡み合い、原子や分子が形作られていく。石同士の結合によってできたそれらの間にも同様に、穏やかな引き寄せ合い、あるいは激しい反応が起こり、さらに大きな構造に育っていく。構造のスケールが大きくなるにつれて、それらの動きは偶然性よりも、この形であればこう打つべしという、決定論的なものになっていく。


19×19に分け隔てられたそれぞれの区域の状態が確定してしまえば、それは宇宙の成長の余地がなくなったということ。宇宙の死である。


碁を打つ時、詰め碁の本を読む時、ふとそんなことを考えてしまわないようにしたい。

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