2022年6月12日日曜日

電車とバスと博物館

久地円筒分水を見るために、何度か訪れた溝の口駅でJR南武線から東急田園都市線に乗り換え、宮崎台駅へ。

「電車とバスの博物館」は東急電鉄と東急バスの博物館だ。


館内のスペースの大半が、保存された車両、運転席のシミュレータやリモコン操作できる鉄道模型で締められており、多くの子供たちが群がっていた。故に写真はない。

私はと言えば、年表見たり、鉄道職員のお仕事紹介のパネルを見たり、彼らの装備や備品の数々を見ていた。私自身、それほど見たかった展示でもないが、将来の鉄道を担う子供たちにも一顧だにされていないことに、若干の寂しさを感じる。


東急のマスコットキャラクター、のるるん。
横に引き延ばされたマスクが猿ぐつわのようにも見える。口の大きなキャラクターには辛いご時世だ。

車両とホームのすき間に住むという妖怪、スキマモリ。すき間に人間を引きずり込むのか、怖っ!……と思ったが、実際は逆で、子どもがすき間に入り込んでしまわないよう、見守っているらしい。ちょっと探してみよう。

首都圏、鉄道の会社ごとに、それぞれ博物館があるけど、今まで行ったところは似たり寄ったりの展示になっていて、ちょっともったいない。メインターゲットが将来の鉄道マンたる子どもで、彼らの望むコンテンツが偏っているということなんだろうけど。

でも、スキマモリという取り組みはいいな。こういう取り組みがあちこちで行われてほしい。
http://www.omcd.ac.jp/sukimamori/


電車とかバスとか、お腹いっぱいになるだろうからと、ハシゴ先の博物館は全然別系統の歴史博物館にした。単純に距離が近かったこともある。横浜市歴史博物館だ。


横浜市の歴史の濃淡を示すように、古代はバッチリ、江戸時代くらいまではそこそこ、幕末~明治はキッチリといった感じだ。

弥生時代のムラ。塀の内側に堀がある。行った当日は意味が分からなかったが、この文章書いている内に想像が付いた。本格的な築城が行われる時代と違い、高所から攻撃する手段がないからだ。きっと。塀の外側の堀に敵が落ちても、攻撃するために自分たちが外に出るのは無駄に危険だ。

鶴見界隈。いかにも中世的な集落が広がる中で、圧倒的な権力と科学力を見せつけるかのように、高所に立てられた寺社がある。

金沢近辺。京急金沢文庫駅に相当するところは海岸だったようだ。その西、写真左上の方に、金沢動物園があるはず。八景島は海底に沈んだまま、その眷属と共に目覚めを待っている。

中央の休憩コーナーらしいところが、鉄道模型に占拠されていた。えっ、それってアリなの?

模型は趣味のものではなく、同じ横浜市の市電保存館から持ち込まれた物らしい。

電車はもういいかなぁ、と思って選んだ歴史博物館だったが、鉄道開業150周年の特別展が開催中だ。期間はなんと3月~9月。6月を境に前半と後半を分けてというなかなかの長丁場だ。(現地に着いてから知る……)

鉄道博物館とか、品川駅、新橋駅とか、他でいくらでも……と思わないでもないが、横浜市ならではの要素も盛り込むべく、なんと小学校から集めた資料も展示されている。意味が分からない。
なんと、横浜市の小学校の大部分が独自の「郷土資料室」を持つというのだ。すげぇぜ、横浜市。

その、小学校から借り出されたという資料の一つ。六郷川(多摩川の最下流部をそう呼んでいたらしい)に架けられた鉄橋の銘板。六郷?多摩川?それ、本来大田区が所蔵していてしかるべき(以下略

鉄道の「時刻表」(書籍として売られる奴?)を印刷するための活字。気が遠くなりそうだなぁ。

横浜における鉄道年表。鶴見駅はなんと4つめ。そんなに古くからあったのだなぁ。

京急、なぜキリンビール前駅を廃止してしまったの……。キリンビール前駅発の通勤定期とか、すごいあこがれるんですけど。

若干、巻き込まれ感があるJR東海、新横浜駅があるから、素通りではない。

学芸員さんの説明を聞くまで、ありがたみを感じなかった東急の車両模型。この車両を製作している会社(総合車輌製作所)の職員さんによる、紙製の1/10模型。趣味のものではなく、資料なのだ。屋根が開くようになっており、特別展の後半戦では中身まで精巧に作られている様子が来館者を驚かせる見込みである。

崎陽軒のシウマイ娘。復活は……難しいか。

一般の人の目にはなかなかとまらないような、貨物専業の路線も含めた10の鉄道会社が、お披露目前の車両の情報までフライング提供。でも、鉄ヲタによる鉄ヲタのための展示ではなく、横浜の歴史に鉄道が大きく関わってきたという展示、鉄道の沿線としての横浜市の展示になっていた。


電車とバスの博物館のミュージアムショップで購入した、昔の東急の沿線案内。
等々力渓谷にゴルフ場があったり、二子玉川から砧に向かう路線があったり。
バス路線もいくつか描かれていて、蒲田には「鬼タビ前」のバス停が。(今、東邦医大通りと呼ばれている通り[補助27号線]は、昔、足袋の工場の名から鬼タビ通りと呼ばれていた)その先には、「蒲田花園」。蒲田で花と言えば梅屋敷か、あるいはあやめ橋の名の由来となった菖蒲園だと思うが、蒲田駅との位置関係を考えると後者かな。

……と考えはじめたら止まらなくなったので、いっそのこと額縁に入れて壁に常設展示することにした。人生で、わざわざ額縁を買うなど初めてである。紙製の額縁(1,000円)に、沿線案内(200円)。引っ越し先で初めて買ったインテリアがこれ。


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