2023年4月2日日曜日

超ふつう

「超(スーパー)普通種展」。
珍しさのない、そこら辺でよく見かける生き物の企画展。
何が見どころなのかわからないこの企画、しかし私にはスルーしがたい期待を煽るものであった。

展示するもの自体にもの珍しさがないなら、切り口で驚かせる算段があるってことだよね。


箱根登山鉄道(入生田駅)で、神奈川県立 生命の星・地球博物館へ。
実は、昨年の秋にも行っていた場所である。面白いものがいっぱいあったけど、twitterに一連の画像ツイートを流したら、それで満足してしまった。「何年かしたら、また来よう」という場所ではあったが、半年持たなかった。(記事中の写真は昨秋撮ったものも含みます)

入館したら、展示を見ずに真っ先にレストランへ。片道2時間の電車行に、市民の義務(公共施設のレストランでビール)も果たし、もうすでにやりきった感が出ている。「達成感の先食い」と言われる、仕事であればヒューマンエラーの原因にもなる事象だ。

さて、「超(スーパー)普通種展」。

駅前の川でもよく見かけるカルガモ(普通)。

今住んでる家の前でもよく見かけるスズメ(普通)。生きている鳥では無理な近さ、アングルで撮影できるのは剥製の魅力の一つだ。

ギンブナ(Carassius sp.)。
Wikipediaに載っているギンブナの学名はCarassius auratus langsdorfiiなのに、ラベルは「フナ属のなかま」。ありふれた淡水魚だが、個体差が激しい、生殖活動が複雑などの要素があり、他種との区別をつけるのが大変な個体があるのだとか。雲行きが怪しくなってきた。

我々が「サザエ」と呼び、普通に食べてきたこの生き物。Turbo sazaeとして、新種登録されたのは2017年だという。名前のない、未知の生き物を我々は日々食べている。

モンシロチョウの標本。普通の人はありふれた普通種の標本をわざわざ集めないので、博物館に寄贈される機会も普通ない。だから普通の種の標本を欲しい研究者は、普通は自分で採りにいくのである。

研究者視点でのカッコ付きの「普通」。普通の種の継続的な調査から、生物界の変化を捉えていく研究。
私たちの普通、それ自体が移ろいゆくものであるという、考えてみればあたりまえのこと。……と安易なまとめを保留して、根拠と数字を集めていく人々がいる。


せっかくだから、常設展も。


紫水晶の裏表。

方解石。デカい鉱物標本がいっぱい。

「ズーラシアから来ました」
「金沢動物園から来ました」
「野毛山動物園から来ました」
動物標本は、横浜市でよく見られる種が多い。

タイリクオオカミ(左)とニホンオオカミ(右)。オオカミっぽさが全然違う。しかも、この館のニホンオオカミは剥製ではなく模造剥製というものみたい。

なんとなくキレイだったから撮った植物のコーナー。

ハクセキレイとシジュウカラ。標本見ても、違いがわかりにくい。図鑑のシジュウカラはもう少しカラフルに描かれている。

常設展の一つの目玉。ジャンボブック。コピーライターなら「まるで自分が小人になったような」とか盛りそうだが、大きく作られているのは本だけなので、そういう錯覚はない。ジャンボなブックがあるだけだ。
展示物とその解説という体裁ではなく、解説の中の図表の一部として標本を扱っている感じ。

博物館は広く、展示物の質も量も充実している。ジャンボブックみたいな仕掛けもあり……という贅沢な環境であることと、神奈川県の西端という立地もあり、展示を見切る前に体力を使い果たしている感じ。次来た時は、ジャンボブックから見て回る、くらいのことをしないと消化しきれないな。


博物館の裏手に、お気に入りのスポットがある。早川だ。棚田式魚道というのを初めて見た。

スマホ用のクリップレンズ(3,000円くらいの)をつけて撮ってみたもの。左が2倍望遠。右が広角。

マクロレンズで小さい花を接写して撮影の練習。風が吹く野外での撮影は難しいなあ。

こちらは博物館の庭のもの。左がレンズなし。右が接写。どちらもピントが合ってないとか、手ブレとか。マクロレンズはもうちょっと緩めのものが欲しくなった。

河原では、さっき標本で見たモンシロチョウの生体が飛んでいた。「モンシロチョウだ」となんとなく思ったが、実はまったく別の、未知の生き物だったかもしれない。 そしてきっと、モンシロチョウ自体にも研究者たちだけに意識されている「謎」が残っているのだ。

2 件のコメント:

  1. 久しぶり~

    http://www.numazu-deepsea.com/

    https://yo-sui.com/

    に行ってきたよ~

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    1. 沼津に行ってきたんですね。私が行くのはいつになるか……。

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