2011年9月25日日曜日

ビューティフルデータ


科学、社会調査、画像、自然言語など、様々な大量のデータの収集、分析、表現の事例集。

1人の著者がインタビューを元に構成したものではなく、当事者自身が論じる形式になっている。そのため、切り口と語り口は各章でかなり違い、サンプルコードが示されているものもあれば、収集に使った機器の機能とスペックに紙面を割いているものもある。

読めば役に立つという類の本では無い。「こうしましょう」「こうすればうまくいく」的な定石、ベストプラクティスはなく、「あれを実現するために、こういうことをやった」という個々の活動を過去形で語っているだけの本だから。「うまくいったと思うんで、真似してよ」ですらない。

退屈にしか思えない章もあれば、とても面白かった章もあったが、これは自分の興味関心の偏りによるものだろう。具体的には、データを正しく扱うこと、役立てることの難しさについて語った13章「データでできないこと」(Coco Kurmme氏)が面白かった。

忙しい人が仕事の合間を縫って読むには全く適していない。重いし、かさばるし。読み物として、本を読めるだけの余裕のある人が、知見を広げるために読む本。あるいは、目の前の問題をどう扱うか考えあぐねていて、ヒントを求めている人にはもっといいかもしれない。いろいろな分野に取り組んでいる人が、どういうことを考え、どういう道具を使っているか知ることができるから。


装丁や図版は美しいが、安価な本では無いし大判なので都市住人の本棚には向かない。読みたい人は最寄りの図書館にリクエストするか、購入した後、図書館に寄贈するのが良いと思う。

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