図書館にあるコンピュータ本なんて、古い本ばかりだろうし、中身も適当だろうし…と思ってコーナーに寄るのを避けてきた。しかし、一つ考えかたを変えてみれば、自分の金ではとても買えないような、会社の経費で買うのもはばかられるような、そんな本に出あうチャンスでもある。
「かんたんZope - 無料のwebサーバで君だけのWebサイトを!」(I/O Books)
本来簡単でないものを簡単に説明しようとしたときの歪みみたいなものをこの本に感じた。
Zopeというのはwebサイトを構築するためのサーバーとフレームワークがセットになったもので、これ自体はフリーソフトウェアでインストーラーから簡単にインストールできる。
ページを書くにはHTMLを生成するのに使うテンプレートが必要で、そのテンプレートの記述に使うDTMLについても説明がある。
ここまではいい。(本当はあまり気に入らないんだけど)
データの保存にはMySQLを使う。ちょっと凝ったことをやろうとすればPythonでのプログラミングが必要だ。これらについての説明は他の本を…と来た。
「中身が分らなくてもいいから、この通りに打ち込んでください」という長いリストについては、入力が面倒ならCD-ROMからコピーすればいいから、とりあえず作例通りにはサイトを作れるとして。
…作れるとして。
作例通りにやった(つもり)なのにも係わらず(なぜか!)うまく動かなかった場合。作例を改変して自分用のサイトを構築しようとする場合。
発生するかもしれない問題と、それに対応するための情報がほとんどない。(全くないと書きたいが、実はどこかに書いてあったのかもしれない)
トラブルとは言わないまでも、データベースのメンテナンスに関する情報というか、そもそもメンテナンスが必要であるという情報もない。(もしかしてMySQLってメンテナンス・フリーなの?)
「無料のwebサーバで君だけのwebサイト」とあるが、その実現方法は「DynamicDNSサービスを使って、自分のPCをインターネットに公開する」である。それでいて「PCの電源が入ってないと、インターネットから消えます」的な説明はなかった。
(以前、tumblerで見た、「ホームページ作りました! ここにアクセス→ file:///C:/homepage/...」って張り紙ネタを思い出したよ)
「アクセルを踏めば車が動きます」という情報はあるんだけど、「公道を走るには免許が必要です」とか「制限時速を守ってください」とかいう情報が薄くて、そもそも「道交法に従う必要があります」ということすら書かれていない感じ。
これは怖い。とはいえ、自分でこのようなマニュアルの書き方をしないとは限らない。例えば、自分用のメモとして手順だけ記録しとけという場合とか、あるいは「何かあったら自分に連絡しろ」と書ける場合とか、もしかしたら最初から他人をハメるために書く場合とか…。
いろいろ思うことはあったけど、一番印象に残ったのは味のある本文イラストだ。中身に興味が無い人にもこれらのイラストだけは見て欲しい。そう思った。
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