2011年10月17日月曜日

理研・一般公開2011(その3)

組織上は生物学なんだけど、コンピュータ絡みの仕事をしているスタッフもいて、それに即した展示内容もある。商売柄ここの活動は気になる。今年のテーマはソーシャルとゲーミフィケーション(ゲーム化)だった。


研究者が交流というか、研究のための情報交換のためにSNSを使うことが一般的になっているという話。Facebookがやはり人気なんだけど、専用というか独自のSNS(理研サイネス)を構築したりもしてるよ~。という話を聞いてきた。

人間向けのSNSだけでなく、研究データそのものを国際的にやりとりするためのオープンなデータベース、BioLOD(Facebookページ)もあって、研究者(夏休み中の小学生も含む)が、公開されているデータ(クリエイティブ・コモンズorパブリックドメイン)と、手持ちのデータとを自由に組み合わせて分析することもできるようにしているとのこと。


以前に公開を見学した時は、セマンティックWebの展示が中心だった。その後の話を、あまりニュースで聞かないな、どうなったんだろうなと思っていた。

あくまで「示されている場所」に飛ぶだけの現在のハイパーリンクを越えて、「このページに対して、飛び先のページは何にあたるのか」という情報を重視するセマンティックWeb。例えばテレビ番組の情報なら、その出演者である、放送局である、ファンの私設サイトである、といったように文書の内容に即してリンクしていく。(他方、HTML5のrel属性は、目次である、本文の一番最初のページである、といったように文書の構成に沿っている。)

アニメ・特撮ファンがwikipediaでやってるみたいに、趣味のデータベース作る人が重宝するかも…と思ったけど、意味づけの作業は人間がやらなければならないので誤りも入りやすいだろうし、RDFやXMLって結構大変だよね。

…ということは皆思っていたようで、より軽量なフォーマットが開発されているという話を聞いた。後で調べたところ、こういうものが見つかった。また、人間にとってなじみのある表形式(Excelとか)と、より情報の実際の構造に即していて、コンピュータ処理にも向いた形式との相互変換を仲立ちをするセマンティック・テーブルなんてものもあった。


「整理するな、検索させよ」という言葉の通り、一般の人が適当に思いついた言葉で検索するならGoogle民主主義とマシンパワーでごり押しするのがいいんだろう。もっとキッチリと、例えば関係のない情報をきちんと除外するようなことも望まれるなら、書き散らかされず、より自動的に情報が整理されていくような仕掛けを指向して発展していくんだろうね。


ゲーミフィケーションの例として挙げられていたのは、タンパク質折りたたみゲーム「Foldit」。最近、その成果が発表されて、ニュースになったものだ。実際に遊べるよう、ゲームがインストールされたPCも用意されていて、外国人のグループや小学生が熱心に取り組んでいた。

クラウドソーシング(「お前ら、俺の代わりにこの問題解いてくれよ」方式)は、当事者が気づきにくいヒントを得るための手段として、一般的にではないにせよ、使われ続けていくだろう。実際、Folditの攻略ページには一般プレイヤーが書いたと思われる攻略記事やゲームを解く過程を自動化したスクリプト等が投稿されていた。これらの記事やアルゴリズムの一般化と検証から、今まで「コンピュータには解かせにくい」と思われてきた問題を解かせることができるようになったら面白いと思うし、それがゲーム作成者の目的であるとゲームの公式サイトには書かれていた。

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